届いた荷物の中身を取り出した後、夫が荷物をくるんであったプチプチをつぶし始めた。
プチプチとは、梱包材として使われている、前面に丸い気泡がびっしりと並んだポリエチレンシートのこと。正式には気泡緩衝材というそうだ。
「僕好きなんだよね、これつぶすの。ストレス解消になるんだ」と夫。
「へえ~、そんなにストレスたまってるようには見えないけどね」と軽口をたたいているところに、子どもたちがやってきた。
「あ~、面白そう! やらせて、やらせて~」とかおる。小学2年生。
「耕平もやる? 面白いよ」と夫が誘う。
耕平はにべもなく言う。「僕はしないの」そしてつけ加えた。
「僕ってそういう人なの」
「・・・・・・・・・」呆然とする夫。
「僕ってそういう人なの」
これは、自分のことを外側から見た表現。自己を客観視していることを示す言葉である。いわゆるメタ認知。
保育園に通っている息子に、「自分はそういうプチプチをつぶしてはしゃぐというような人間ではない」という意味合いで言われて、子どもじみた行動をしていた父親は言葉も出ない。
子どものメタ認知能力の発見。衝撃的な出来事だった。
2歳上の娘の場合は、こうした変化がいつごろあったのか、うかうかしていて気がつかなかった。
メタ認知―自己を客観視するという行動、私自身がいつごろからそういうことができるようになったかということもよく覚えていないが、親が考えるよりずっと早くこどもはできるようになるということだ。
耕平、5歳5ヵ月。保育園年長組。
子どもの成長恐るべし!